11日。

この11日間、グルグルと考えて、
考えて打ち消してを繰り返してました。
その間に、アーティストの方々もチャリティ活動や
自身の制作や展示を行っておられる。
展覧会でのパフォーマンスを「自粛しろ」と言われた友人もいる。
今アートが必要だと言う人もいる。
展覧会自体が中止になった方や、自ら中止にした方も。
ひとりひとりが考えている。


私が今回VOCA展に出品した
作品の解説を書いておこうと思う。


「あきらめて、」
私の曽祖母の兄「景政勲策」
実家の古い箪笥の中から、手紙とアルバムが出てきた。


彼は、海軍兵としてシベリア出兵に従軍し、
掃海作業(機雷*を処理する仕事)をしている最中に
機雷が爆発、海中に転落し亡くなった。


彼の母親宛に書いた手紙があった。
死亡と捜査の様子を、同じ戦艦に乗っていた兵が書いたものだ。
5通の手紙は、全て違う人物から母親にあてられていたが、
全てに「お母様 おあきらめ下さい」と書いてあった。
それが、軍の規定だったのかもしれないが、
文面には、
彼の死亡状況や、遺体を捜索したが見つからなかった事
おおよその場所を手書きの地図に記載したもの、
海軍生活の中で、どんな人物だったのかが、丁寧に
そして誠実に書いてあった。
規定の中にも、書いた人物の悔しさや悲しさや恐怖が
にじんでいた。
「おあきらめ下さい」の文字は震え、小さかった。


文面から、爆発の後海中に落ちた戦友を船や湾内で
3日かけて探したらしい事、
冬用の分厚いコースと装備は、海水を吸い込み
遺体は結局上がらなかった。
今回、その捜索の様子を描いた。



私達の希望はどこにあるだろうか。
縋り付く先も無い。
大きな流れに逆らう事は難しい。
不安になる事が恐ろしい。


人は、災害や戦争より スゴイ事をなし得られるだろうか。


いや、成そう。





機雷:海中に仕掛けられている爆弾